トピックス    2006.11

 日亜化学「偽装」是正!
 請負1600人を直接雇用!!
   − 労使合意… 労働者の申告実る −
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   【続報1… 「正社員へ道ひらいた!」 】 ジャンプ
   【続報2… 「きっかけはインターネット」 】 ジャンプ


 発光ダイオード (LED) の開発で知られる日亜化学工業株式会社 (徳島県阿南市) は11月10日、同社で働く請負労働者約1600人全員を12月1日から、直接雇用していくことを明らかにしました。

 同日、県のあっせんによる同社と全日本金属情報機器労働組合(JMIU) との労使協議で合意しました。


 合意内容は、3年以上働いてきた請負労働者にたいし、経験重視の採用選考をおこない、12月1日付で契約社員として直接雇用するというもの。

 期間は、1年契約で最長3年とし、その間に適性をみて正社員への道を開き、賃金について現状を下回らないこと、3年に達した請負労働者については今後も、同じ扱いをすることで合意しました。

 また日亜化学は、請負労働者の雇用と労働条件の改善について配慮することを約束しました。

請負労働者全員を対象に直接雇
用することでJMIUと合意した日亜
化学工業株式会社=徳島県阿南市

 日亜化学の偽装請負が発覚したのは、先月10日、JMIU徳島地域支部加盟の青年労働者(33) が、徳島労働局に申告したことがきっかけでした。

 申告した労働者らは、シーツービーテック (CTB) 株式会社 から 日亜化学 に1年を超え派遣され、業務の指揮・命令を日亜化学社員から受け、社員と一体となって働いてきました。

 派遣法は、派遣労働者の受け入れ期間が一年を超えた場合、受け入れ先の企業に直接雇用の申し入れ義務を課しています。 「これは 『偽装請負』 だ」 として日亜化学への直接雇用の指導を求めていました。

 JMIU はこの合意について、「日亜化学の請負労働者全員に直接雇用の道をつくり、正社員への道も開いたものだ。労働者の将来に展望を与えるもの。直接雇用になるまでの請負労働者の雇用の安定と労働条件改善についても、日亜化学としての努力を表明したことも極めて重要である」 との声明を出しました。

 出典: 「しんぶん 赤旗」 2006年11月11日付、   同党のホームページ
 (*) 日亜化学における偽装請負の告発とたたかいはJMIU徳島地域支部のサイトで詳しく紹介しています。
 当ホームページ上の関連情報は → こちら

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正社員へ扉ひらいた! 青色発行ダイオードの日亜化学…請負の1600人全員を直接雇用!!
喜び合うJMIU日亜化学分会の木南さん(手前)、(後列左から) 島本さん、喜多さん、福谷さん

 請負労働者を直接雇用する流れが、また一つ広がりました。 青色発光ダイオードの発明・生産で知られる日亜化学 (本社・徳島県阿南市、正社員3,600人、請負労働者1,600人) で、請負労働者が労組を結成 (17人) し、会社の偽装請負を告発。 それからわずか1ヶ月で、直接雇用とともに正社員への道を開きました。 請負労働者全員が対象という画期的な内容です。

 「母から私の携帯電話にメールが入ったんですよ。 『 いま、テレビでみたけれど正社員になれるかもしれんね』 と」

 木南(こみなみ)さん(22) は、満面に笑みを浮かべて語ります。

 10日、木南さんが加入する全労連・全日本金属情報機器労組(JMIU) と日亜が画期的な合意をした、という ビッグニュースが全国をかけめぐりました。

 その内容は、

3年以上働いてきた請負労働者は、採用試験をおこない、12月1日から直接雇用の契約社員(期間1年、最長3年) として募集する。 賃金は現状を下らない、
労働者の適性をみて正社員への道を開く、
3年に満たない請負労働者の労働条件も改善するよう配慮する、

―― というものです。

 「すぐ母にメールを返しました。 『黙っていてゴメンね。 2日前ぐらいから知っていたけれど』 って」

  【直接雇用への流れ】

★光洋シーリングテクノ (トヨタの部品会社)…
 
請負労働者59人が9月から直接雇用(期間工) に。 正社員への道も開く。

★ キヤノングループ …
 「数百人をめどに正社員にする予定」 と本社広報部が8月に表明。

★ 松下プラズマディスプレイ …
 
請負労働者を11月から直接雇用(期間工)に。 同社は「約360人が対象」 としています。


 木南さんは、日亜の請負労働者として働いて3年3ヶ月です。 正社員になる資格があります。

 「請負労働者でいるのは不安でした。 有給休暇をとってハローワークに仕事を探しにいったこともあるんですよ。 母に労組に入ったことを話しましたが、『会社に知れたら首にならへん?』 と聞かれ、『大丈夫よ』 と答えました」

 それだけに今回の合意は、ただ一言、「うれしいわ!」。


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 偽装請負告発
  
会社をゆるがした30日間
     
“労組つくって良かった”



日亜化学の本社工場=徳島県阿南市
 日亜化学で労働組合の結成を呼びかけたのは、島本さん(33) です。

 地元の請負会社、シーツービーテック(CTB) に雇用されて2年4ヶ月、日亜で働いてきました。 基本給と職能手当を合わせて月18万円余。 時給に換算して1,140円という低さです。 年収は240万円程度しかなく、ワーキングプア(働く貧困層) でした。 契約期閻はわずか2ヶ月です。


 島本さんらは、デジカメなどの液晶を表示するためのバックライトの製造ラインで、防じん服を着て作業しています。

 日勤(午前8時〜午後5時)、夜勤(午後5時〜午前1時)、後夜勤(午前1時〜午前8時) という過酷な勤務です。

 「同じ徳島の光洋シーリングテクノの請負労働者が労組(JMIU) をつくり、直接雇用を求めていることを知りました (9月から直接雇用を実現)。 そのホームページに僕らの仕事について書き込みをしたことがきっかけでした」

 テクノの労組や徳島労連の森口英昭事務局長(JMIU徳島地本委員長) などに相談。 島本さんらは日亜の社員から指揮・命令を受け、しかも日亜社員と混在で働いていました。 実態は派遣労働なのに、請負を装う偽装請負だったことがわかったのです。

 合意のちょうど1ヶ月前の10月10日、島本さんは薄いグレーの作業服姿で、森口さんらと厚生労働省徳島労働局に偽装請負を告発しました。 メデイアが殺到し、インタビユーされる島本さんの顔は緊張していました。

 「わずか1ヶ月といいますが、僕にとっては中身が詰まっていたのですごく長い感じでした。 職場では誤解から、『こいつ、こんなことしやがって』 という非難の視線を感じましたから」

 組合員の喜多さん(25) は、勤続1年11ヶ月。 「両親が大喜びしてくれました。 あと1年余で正社員への道が開けるんです。 がんばる目標ができました」


 福谷さん(26) は、まだ勤続10ヶ月。

日亜化学の偽装請負を徳島労働局(右側) に告発す
る徳島県労連の森口英昭事務局長(左端) と日亜の
請負労働者、島本さん(中央) =10月10日、徳島市

「以前も請負労働者でした。 次の仕事へのつなぎで日亜にきたんですが、労組に入ってよかった。 両親からも 『あと2年余りがんばれ!』 と激励されました」

 島本さんがしみじみと語りました。

 「直接雇用で仕事へのやりがい、生きがいが生まれてきます。 困ったときには誰でも相談できる労働組合をつくりますよ」


 JMIU徳島地本委員長で徳島労連事務局長の森口英昭さんの話

 日亜は、「正社員になれるように教育するのが会社の責任です」 といっています。 労組員らへの差別的なこともなくすよう指導するとも語っています。 日亜がJMIUと合意した英断を評価したい。

 出典: 「しんぶん 赤旗・日曜版」 2006年11月19日付

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                  シリーズ職場  違法労働を追う

 きっかけはインターネット!
  正社員に道“やる気でた”
   青年ら 偽装請負告発し勝利!!


日亜への正社員登用へ力をあわせる (左から)
喜多さん、島本さん、木南さん =徳島県阿南市
 偽装請負をやめさせて労働者を発注企業に直接雇用させる道が、また大きく開かれました。

 青色発光ダイオードで知られる日亜化学 (本社徳島県阿南市) で、請負労働者1,600人全員が対象になるという画期的なものです。

 偽装請負で働かされていた青年たちが労働組合をつくって告発をしたことがきっかけでした。


 労組つくり

 「次の仕事までのつなぎのつもりだったけど、正社員への道が開けてやる気が出てきました。 同僚も 『先が見えるとやりがいが違う。 頑張れる』と 大喜び。 両親からも、『頑張れよ』 と励まされて、本当にうれしい」

 まだ勤続10ヶ月の福谷さん(26) が、目を輝かせます。

 労働組合をつくろうと呼びかけた島本さん(33) も 「『社員に決まったらお祝いしようね』 と妻からいわれました」 と顔をほころばせます。

 直接雇用は、2人が加入する全労連・全日本金属情報機器労働組合 (JMIU) と 日亜化学が 11月10日に合意しました。

 (1) 3年以上働く請負労働者は12月1日から契約社員(期間1年・最長3年) として募集する。 賃金は現状を下回らない、
 (2) 適性をみて正社員への道を開く、
 (3) 3年に満たない労働者の労働条件を改善するよう配慮する、

―― という内容。 テレビや新聞が大きく報じました。

 木南さん(22) は勤続3年3ヶ月。 正社員になる資格があります。

 「テレビを見た母親が 『あんた正社員になれるかもしれんね』 とメールをくれたんです。 ずっと請負でいるのかなと不安だったからうれしい。 組合に入ってよかった」

 前出の福谷さんも 「運動してごっついよかった。 みんなのためになることができた。 団結の力を実感しました」。

 県を動かす
日亜化学・徳島県阿南市(地図)

 島本さんらは、地元の請負会社シーツービーテックに雇われ、日亜化学で働いてきました。

 防じん服を着てデジカメなどの液晶部品をつくる仕事です。 3交代 (午前8時〜 午後5時〜 翌日午前1時〜 午前8時) の過酷な勤務ですが、基本給と職能手当を合わせても月18万円余。 年収240万円にしかならず、2ヶ月の契約期間を繰り返す不安定雇用でした。

 島本さんが将来に不安を感じていたとき、同じ県内の光洋シーリングテクノの請負労働者が労組 (JMIU) をつくって直接雇用を求めていることをインターネットで知って相談しました。

 「実態は派遣労働なのに偽装請負で働かされていることや、派遣なら1年間たてば日亜が僕たちに直接雇用を申し込む義務があるのにしていなかったことも知って、怒りがわいてきました」

 日亜は、島本さんたちに指揮・命令を出し、派遣労働者のように日亜の社員と一緒に働かせながら、人件費も安く何年働かせても直接雇用しなくてすむ請負労働者のように装っていたのです。

 昨年、労働局が調査に入る情報をつかむと正社員を現場から引き揚げ、「日亜から指示を受けている、一緒に作業しているなんていわないように」 と労働者に口裏合わせまで命じていました。

 島本さんらは10月、偽装請負がおこなわれていると労働局に告発し、法令にしたがって直接雇用させるよう求めました。

 労働局は再び調査を開始。 県商工労働部も解決を働きかけました。 県南地域で千人規模の従業員がいるのは日亜だけで、県の 「LED(発光ダイオード)バレイ構想」 の中心企業でもあり、見すごせなかったからです。

 労働者の告発と、それに押されて県などが動いたことが、短期閻で直接雇用に踏み切らせる力となりました。

 合意実現へ

 合意を受けて日亜は、地元紙に12月から契約社員募集を始める広告を出しました。

 島本さんは 「まず請負で働く全員が契約社員になれるようにしたい。 まともな生活ができる賃金にすることや、正社員への登用も実現を求めていきます。 そのために組合員をたくさん増やしていきたい」 と語ります。

 日亜より一足先に直接雇用の合意を結んだ光洋シーリングテクノの矢部さん

10月10日、日亜工場の前で (左からJMIU・山本善五郎副委員
長、島本さん、徳島労連・森口英昭事務局長、同・見田治議長)
(41) たちも、全面実施を求めて運動している最中です。 「たたかいはこれから。 日亜に約束を守らせるようみんなで頑張ってほしい」 とエールを送ります。

 光洋と日亜の両社に解決を働きかけた県の担当者も 「直接雇用は正社員登用が前提。 青年は正社員を求めており、契約社員どまりでは意味がなく、正社員への道を開くのが目標」 と話します。

 徳島労連(全労連) の森口英昭事務局長(JMIU徳島地本委員長) はこう強調します。

 「合意の早期かつ全面実現が課題です。 労働者みずからのたたかいで切り開いた正社員化の流れを止めさせず、全国で正社員への雇用拡大の流れをつくりたい」

 出典: 「しんぶん 赤旗」 2006年11月22日付

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