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政府税制調査会 (首相の諮問機関、石弘光会長) は、2005年6月21日、“サラリーマン大増税計画” を打ち出しました。
サラリーマンの収入に応じて一定割合を課税対象額から差し引く給与所得控除の見直しの方向を明記。
専業主婦のいる世帯の税負担を軽減してきた配偶者控除や扶養控除の見直しも盛り込みました。 また、所得税・個人住民税の定率減税の廃止も明記。 さらに消費税率の2ケタ化(10%)も打ち出しています。
年収500万円で、年42万円、
消費税増税分を合わせると年55万円の増税!!
定率減税の廃止と各種控除の廃止・縮減が実施された場合、年収500万円の4人世帯 (サラリーマンと専業主婦、子ども2人) では、年42万円、
消費税の増税分 (年13万円) を合わせると、年55万円の増税になります。 (右のグラフ参照)。
給料のおよそ2ヶ月分が吹き飛ぶ増税です。
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マスコミも、そろって特集
テレビ討論番組やワイドショーもそろってこの問題を放映。一般紙は、「消費税と重なれば超重税になる」 (「読売」22日社説) などと指摘。
「年収600万円以上の家計では56万2700円の負担増!」 との試算を示したのはテレビ朝日系番組 「スクランブル」。
コメンテーターで出演したエコノミストの紺谷典子さんは、「年金だって減らされ、医療費の自己負担が増えて、ただでさえ老後が暗い中で、ゼロ金利。それなのになけなしの退職金にさらに課税を強化するなんて、何考えているのか」。
司会者も 「出るのはため息ばかりですね」 と。
「育ち盛りの子どもがいるので、食べ物は切り詰められない」、「自分の可処分所得がずっと減るわけだから、そうしたら結婚したくないなあとなる」、「『まだいじめんのか』 って感じ」 …。フジテレビ番組 「報道2001」 はこんな街の切実な声を紹介。
出演した政府税調の石会長はこの声に、「オールジャパンで(負担を)支えないといけない」 と居直りました。
サラリーマン大増税計画には、「重税感は強まるばかりだ。『取りやすいところから』 という安易な導入はすべきでない」(琉球新報・社説)、「なし崩しの増税策が国民の理解を得られるのか疑わしい」(南日本新聞・社説)など、地方紙を含めて批判があがっています。
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人間性を押しつぶす
政府税調は、今回の報告書で、「制度が相当複雑化している」と強調しているのは、「簡素な税制」に逆行していると印象付けるためです。
しかし、所得税は、それぞれの負担能力に応じて課税するようになっているところが長所であり、それを「複雑」だと切り捨てようとするのは間違いです。負担能力に応じた課税を実現する手段となっているのが累進税制であり、各種の控除です。
月収が同じでも、独身で扶養家族のいない人と、子どもを持つ人、重病の家族を抱える人などでは負担しなければならない費用が違います。その条件を無視して課税すれば、消費税のように、低所得者や困難な状況を抱えた人に、より重い負担を強いることになります。
さまざまな控除は、それぞれの人の経済的な事情に配慮し、公平を期すために設けられています。その結果、複雑になったからといって諸控除そのものを一律に縮小・廃止するのは本末転倒です。政府税調自身が「税制の基本原則の中で最も大切なもの」と位置付けてきた「公平」の原則を破壊します。
報告書は、配偶者控除や扶養控除、16歳から22歳の扶養親族にかかわる特定扶養控除などを明記して、見直しを主張しています。
所得の種類に応じた控除については、勤め人にかかわる給与所得控除、退職金控除の縮小を打ち出すとともに、自営業者にかかわる事業所得の徴税強化も盛り込みました。
報告書は庶民の税負担を引き上げるために、所得税の四つの税率区分(10、20、30、37%)の適用範囲の見直しを掲げています。とくに最低税率10%の範囲を狭め、大半の人に税率20%を適用する考えです。
「わが国の課税最低限は主要国中最低の水準となっている」と報告書も認める通り、日本の所得税制は低所得層に厳しくなっています。
その上に、低所得層ほどつらい所得増税を迫り、さらに政府・与党は消費税の増税まで計画しています。
格差拡大と生活不安
一方で、富裕層や大企業の税負担軽減だけは続ける構えです。
引き下げ続けてきた所得税の最高税率や株式売却益の減税、大企業の減税には手を着けようとしません。
日本の貧困率は主要国で最悪の水準となり、若者の間でも貧富の格差が広がっています。生活不安を抱える国民が増加し、年に3万もの人が自殺しています。
サラリーマン・庶民への残酷なまでの大増税は、社会の亀裂を深め、人間性を踏みにじる暴挙です!!
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出典:日本共産党発行の 「しんぶん赤旗」 2005年6月27日付、 同党のホームページ
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