えっ! 労働時間の短縮をやめる?!
− 労働政策審議会が「意見書」提出 −
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 2004年12月17日、労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)が、「年間総労働時間を1800時間へ」という政府の時短目標をなくする「意見書」を、厚生労働相に提出しました。

 厚労省はその方向で来年の通常国会に法案を提出する見通しです。


 とんでもない! 長時間労働の容認!!

 厚労省は、「2003年度の年間総労働時間は1853時間で、1800時間の目標はほぼ達成した」としています。

 しかし、これは近年増加が続いているパートタイマーのような短時間労働者を含めた労働時間であり、一般労働者に限れば2016時間にも達し、3年前よりも17時間多くなっているのです。

 しかも、サービス残業(ただ働き)が常態化しています。
 この3年間に支払わせた是正額(サービス残業代)は427億円に達しましたが、これは“サービス残業”という氷山のほんの一角に過ぎないでしょう。


 もともと、現行の時短促進法が制定(1992年)されたのは、欧米各国から「日本は働かせ過ぎ」と、“カローシ(過労死)”が国際語になるような超過密・長時間労働が深刻な実態になったのが背景でした。

 今でも ドイツより 430時間多い!!

 製造業の労働者の年間総労働時間を比較すると、下のグラフのように、ドイツが1525時間であるのに対して、日本は1955時間で、430時間も多いのです。


       ドイツと日本の年間総労働時間の比較 (製造業の労働者)

  ドイツ : 1,525時間
 


  日 本 : 1,955時間  
 

             差 … 日本が ドイツ よりも 430 時間多い!! 
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 経営側の思惑を反映した「意見書」

 現行の時短促進法の「1800時間」という数値目標をなくする今回の「意見書」は、その理由を、

“労働時間を一律に設定することをやめて個別労使の自主的取り組みを促進していく”、
“多様な働き方に対応した法律に改める”、
“時間ではなく成果によって評価される仕事が拡大している”、
“効率的な事業運営の観点から労働者が着実に成果を上げられるようにしていく”、
“家庭生活、地域活動および自己啓発等に必要とされる時間と労働時間を柔軟に組み合わせる環境整備が必要”

 としています。


 まさに、“成果”だけで賃金を決めたい経営側の思惑を反映した「意見書」と言わざるを得ないのではないでしょうか?!

 いっそうの法規制こそ必要!!


 これまでみたように、「1800時間」の数値目標をなくする理由はどこにもありません!

 ヨーロッパのように、強制力のある労働時間短縮の法規制こそ求められています!!


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