トピックス     2008.12.9

       非正規切り 防止通達 !
  
厚生労働省…「法踏まえ指導」 − 離職後の住居対策も −

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                【 「非正規切り」 防止へ … 厚労省通達・パンフの要点 】  ジャンプ


 “派遣切り” “期間工切り” など大企業が非正規労働者を大量に解雇している問題で厚生労働省は12月9日、労働基準法に違反しない場合でも、労働契約法や裁判の判例を踏まえ、不適切な解雇・「雇い止め」 をしないよう企業に 「啓発・指導」 することを全国の労働局長あてに通達しました。 日本共産党は、志位和夫委員長が麻生太郎首相との党首会談(12月5日)で、政府として強力な指導をするよう求めてきましたが、その具体化の一歩を踏み出したものです。

 労働基準局長名の通達では、派遣や有期契約のいわゆる非正規労働者の解雇や雇い止めがみられるとして、労働契約法や裁判例などをふまえて対応することを要請。 新たに作製したパンフレットを活用して啓発指導するよう求めています。

 パンフレットでは、派遣・期間労働者を契約途中で解雇することは、労働契約法で 「やむをえない事由」 以外は禁止されていること、期間の定めのない労働契約の場合よりも厳しく判断されるとしています。

 期間満了に伴う 「雇い止め」 でも、判例では、有期雇用が繰り返し更新されると期間の定めのない契約と変わらないとされたり、契約更新に対する労働者の期待が合理的とされていることを紹介しています。

 日本共産党は、いすゞ自動車などの解雇が労働契約法違反であることを繰り返し指摘してきましたが、その指摘が生かされた形です。

市内の街路樹もきれいに黄葉しました (川崎市役所通り。Sさん提供)

 大量整理解雇などの情報を把握した場合には、法令や雇い止めの基準違反などを防止するため、迅速に情報収集し、必要な指導をするよう求めています。 労働条件特別相談窓口を設置することや、労働者からの問題のある申告については早期解決に優先的に対応するようのべています。

 職業安定局長名の通達では、公共職業安定所が、期間工や派遣労働者などの大規模な雇い止めの情報を把握した場合、企業に対しすみやかに監督し、必要な指導をするよう指示しています。

 解雇とともに寮を追い出されるケースも多いことから、事業主に離職後も一定期間入居できるよう配慮を要請することや、住居喪失者に雇用促進住宅の入居をあっせんするよう指示しています。

 出典: 日本共産党発行の 「しんぶん 赤旗」 2008年12月10日付、     同党のホームページ

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        「非正規切り」 防止へ … 厚労省通達・パンフの要点

 派遣社員や期間社員など非正規雇用労働者を中心にした解雇、雇い止め問題について、厚生労働省が12月9日発表した労働基準局長通達、職業安定局長通達とパンフレット 『厳しい経済情勢下での労務管理のポイント』 の要点を紹介します。 なお全文は11日から厚生労働省のホームページで見ることができます。



  労働基準局長通達

 解雇や雇い止め、労働条件の切り下げ等については、労働基準法等で定める法定労働条件を順守することはもとより、労働契約法や裁判例等に照らして不適切な取り扱いが行われることがないよう、事業主等に対し、新たに作製するパンフレット等を活用し、集団指導や窓口における相談、届け出受理時など各種機会を利用して、労働契約法や裁判例等の周知をはかり、適切な労務管理の必要について啓発指導を行う。

 とくに、この啓発指導にあたっては解雇や雇い止めにかかる紛争をできる限り防止する観点から、関係法令や「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(2003年厚生労働省告示第357号)」を順守するよう指導するとともに、事前に労使間での話し合いや労働者への説明を十分に行うことが重要である旨を説明する。

  職業安定局長通達

 ▽ すべての都道府県労働局に、早急に緊急雇用対策本部を設置。

 ▽ 雇用対策法に基づく再就職援助計画、大量雇用変動届については、非正規労働者も要件に該当する場合は提出の義務があることを周知徹底。

 ▽ 住居喪失者の支援

  ◇ 事業主に対し、離職者も一定の期間入居できるよう配慮を要請

  ◇ 住居喪失者の希望に応じた求人開拓。広範囲の地域にわたる求職活動を行う必要がある場合、移転費や広域求職活動費を周知。

  ◇ 社員寮等の退去を余儀なくされた住居喪失者等に対し、緊急避難的に雇用促進住宅への入居あっせんを実施。

 ▽ 採用内定取り消しを行おうとする事業主への指導および採用内定を取り消された学生等への就職支援

  厳しい経済情勢下での労務管理のポイント

 解雇については、労働者の生活に大きな打撃を及ぼすものであることから、雇用調整を行わざるを得ない場合であっても、労働契約法の規定を踏まえ、また、関係する裁判例をも参考に、解雇以外に方法がないか慎重に検討を行っていただくことが望まれます。

 〈解雇・雇い止め〉

 ■ 解雇の効力

 ▽ 期間の定めのない労働契約の場合

 権利の乱用にあたる解雇は労働契約法の規定により無効となります。

 〔法令〕 客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇は、権利を乱用したものとして無効となります。(労働契約法16条)

 ▽ 有期労働契約(期間の定めのある労働契約)の場合

 やむをえない事由がある場合でなければ、契約期間中に解雇することはできません。期間の定めのない労働契約の場合よりも、解雇の有効性は厳しく判断されます。

 〔法令〕 有期労働契約についてはやむをえない事由がある場合でなければ契約期閻が満了するまでの間において、解雇することはできません。(労働契約法17条)

 ■ 整理解雇

 整理解雇も客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合には、権利の乱用として、労働契約法により、無効となります。

 また、これまでの裁判例を参考にすれば、労働組合との協議や労働者への説明を行うとともに、次のことについて慎重に検討を行っていただくことが望まれます。

 ◇ 人員削減を行う必要性

 ◇ できる限り解雇を回避するための措置を尽くすこと

 ◇ 解雇対象者の選定基準が客観的し合理的であること

 ■ 有期労働契約の雇い止め

 有期労働契約については、使用者が講ずべき措置について「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」が定められています。

 裁判例によれば、契約の形式が有期労働契約であっても、期間の定めのない契約と実質的に異ならない決態に至っている契約である場合や、反復更新の実態、契約締結時の経緯等から雇用継続への合理的期待が認められる場合は、解雇に関する法理の類推適用等がされる場合があります。

 〔裁判例〕 期間の満了ごとに当然更新を重ねてあたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で労働契約が存在していたといわなければならない場合、雇い止めの意思表示は実質において解雇の意思表示にあたり、雇い止めの効力の判断にあたっては、解雇に関する法理を類推すべきである。 (最高裁第一小法廷 1974年7月22日判決)

                        ( ↑ 引用者注: この判決は “東芝臨時工裁判” の判決です)

 出典: 日本共産党発行の 「しんぶん 赤旗」 2008年12月11日付、     同党のホームページ

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