トピックス     2008.11

   体力十分トヨタ 大株主優遇!期間工解雇!!
   首切り許さない たたかい広がる!

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     【 (続) トヨタ期間従業員の日記 】    ジャンプ         【 首切り許さない たたかい広がる! 】  ジャンプ
     【 トヨタ… “ボーナスカット”の脅しも 】  ジャンプ         【 いすゞ自動車の工場門前で報告 】   ジャンプ


       トヨタ … 配当金5%分で雇用守れる!

 不況でも、なお6,000億円のばく大な経常利益をあげる見通しのトヨタ自動車が、新たに3,000人の期間従業員を切る―― 。 トヨタショックが日本列島をおそい、他の自動車各社も競い合って派遣、期間工などの “非正規切り” を始めています。 本当に、雇用は守れないのか―― 。
 岡清彦記者

 東京都内で開かれたトヨタの中間決算発表会(11月6日)。 木下光男副社長が、トヨタ自動車の経常利益は当初予想の62%減、6,000億円になると発表しました。 記者から質問が飛びました。

 「トヨタの奥田碩・前会長は、『経営者よ、クビ切りするなら切腹せよ』 (月刊誌 『文芸春秋』 1999年10月号) といいました。 なのに、期間従業員の削減がおこなわれている。 どのような計画か」

 木下副社長は、10月に6,000人いた期間従業員を来年3月までに3,000人にする、と話しました。 同社はすでにことし1月から9月までに3,000人を減らしています。

 ところが、株主への中間(前期) 配当は前年と同じ水準を維持します。 1株65円、総額2,037億円。 労働者のクビは切っても株主への配当は減らさない、というのです。

 期間従業員の日給は約1万円。 2交代制の手当をふくめ、年収にすれば約300万円です (残業を含めない)。 3,000人の雇用を守るには年間90億円あれば可能です。 中間配当金のわずか5%あればおつりがくるのに―― 。

 トヨタの株主配当は、03年度から急激に増加しています (右のグラフ)。

 一方、労働者への賃上げは02年から4年間はゼロ。 06〜08年は1,000円にすぎません。 株主の8割は日本国内や外国の金融機関などで、労働者よりはるかに優遇されてきたのです。

 このやり方は他の自動車会社もほぼ同じです。

 株主に手厚いだけではありません。 トヨタグループのため込み利益(内部留保) は13兆9000億円 (07年度) にものぼります。

 資本金10億円以上の大企業全体でみても、ため込み利益は229兆円 (07年度)。 そのごく一部を使うだけでも、非正規雇用労働者の雇用は守ることができるのです。

 20代の期間従業員が語ります。 「トヨタ自動車には、僕らを雇い続ける体力が十分あるじゃないか」

トヨタ自動車…増え続ける配当金(棒グラフ)
中間決算を発表するトヨタ自動車の木下
光男副社長
=11月6日、東京都内のホテル
自動車企業の非正規雇用労働者削減計画(実施したものも含む)=表
【引用者注】

 この他、正社員の人員削減、電機や通信関連企業での非正規・正社員の人員削減(計画を含む) が報道されています。

◆ 非正規雇用労働者削減
 キヤノンプレジション 280人?
 三洋電機コンシューマエレクトロニクス 100人

◆ 正社員の人員削減
 NECエレクトロニクス 685人
 沖電気 300人
 日立プラントテクノロジー 550人
 日本IBM 1,000人
 富士ゼロックス 1,250人

 
               
(続) トヨタ期間従業員の日記 −

 15人のラインが9人に/僕らを雇う力あるのに…

 東海地方のトヨタ自動車で働く20代の期間従業員、篠田哲男さん(仮名) は、「雇いどめ」で次々に期間従業員が追い出されていく独身寮で生活し、職場日記を書きつづけています。 10月26日号で紹介しましたが、その後の事態はますます深刻です。




10月29日 独身寮の玄関。 クリーニングに出す期間満了者 (“解雇” された労働者) の布団と毛布が一気に増えた。

10月30日 仕事の後、上司が人員削減の説明。 ラインのスピードを2割遅くする代わりに、人員を減らす、と。 夏に15人いたラインを12月には9人にするという。

11月4日 仕事が2人から1人に減らされたために、僕1人で数百台の仕事をこなす。 「死ぬのでないか!」 と思った。 全社駅伝競走の練習の応援にいくようにいわれたが、断って春雄さんといっしょに帰る。

 春雄さんは30代で、関西から来た。 正社員登用試験を受けた。 「筆記試験も面接もうまくいった」 とほっとしていた。 「試験官は 『半数は合格になる』 といっていた」 と、春雄さんは正社員化に期待している。

11月5日 九州出身の幸男君(23)がこの日で:満了。 仕事中、僕に手をふってくれた。 別れのあいさつか?

トヨタの期間従業員の寮=愛知県豊田市

11月6日 東北出身の40代の邦夫さんの話にしんみりとなる。 食べ物店を営んでいたが赤字で、毎月、家族に仕送りしているという。 「夢は家族と暮らすことだ。 子どもの成長が見たい」

 僕は思った。 なぜ2年11カ月で満了なんだ。 なぜトヨタはもっと働かせてくれないんだ。 正社員にしてくれないんだ。

 寮の食堂で食べていると、トヨタの中間決算発表の様子をテレビが放送していた。 期間従業員を来年3月には、3,000人減らして半分にするという。 家族心中や秋葉原事件のようなことが起きないか…。

11月11日 寮の玄関には、日に日に布団や毛布の山が増えてゆく。

11月12日 夜中に友人の正次君(25)から電話。 「期閻:満了になったら、ハローワークに通う」 という。 僕は、「図書館で新聞を読んだけども、トヨタには13兆円のためこみ利益があるというよ。 僕らを雇い続ける体力はある、と書いてあった」 と話す。 正次君は、「不景気だからしかたがない」 というのだが…。

11月13日 疲れていたのでQCサークル活動を断ろうと思ったが、みんなは残るという。 原価低減活動というが、くたくたでアイデアが浮かばない。

11月20日 トヨタ労組の職場会。期問従業員は2年目から組合に加盟させられる。 毎月、1,000円くらいの組合費を払っている。 なのに、期間従業員切りの話はまったくでなかった。

 職場会の後、12月で満了を迎える九州から来た40代の秀人さんが僕に語る。 「トヨタ (の株の時価総額) は11兆円もあるが、GMは2800億円しかないんだ」 という。 もっとトヨタで働きたいと、周りの人にいってきた人だ。 秀人さんの思いが痛いほどわかる。

11月22日 寮の食堂で食べていると、邦夫さんが隣にすわってくる。 1週間の小遣いを5,000円に抑え、残りは家族に仕送りしているという。 「子どもたちの生活費は、なんとしても稼がなければならない」 と強い調子で話す。

11月26日 正次君が今日で職場を去っていく。 1年間の期間満了だった。 僕は思った。 渡辺 (捷昭) 社長、僕ら期閻従業員の気持ちをわかってほしい、と―― 。

 出典: 日本共産党発行の 「しんぶん 赤旗・日曜版」 2008年11月30日付

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      トヨタ … “ボーナスカット”の脅しも

うなぎのぼり…大企業の内部留保(グラフ)  トヨタ自動車は、職場で猛烈な不況宣伝をしています。 渡辺捷昭社長をトップに、総費用低減などを目的にした 「緊急収益改善委員会」 を新設しました。

 ある職場ではグループリーダーが、「今後は一時金をあてにしないでほしい。 来年は30%、50万円カットします」 とあおりました。 連合加盟のトヨタ労組が一時金の要求額も決めていないのに、一方的な減額宣言です。

 社員は、「家や車のローンに一時金をあてにしていたのに…」 と不安な様子です。 「減益といっても6,000億円もの利益があるじゃないか」 と反発する社員もいます。

 40代の期間従業員は、「これまで、会社の方が契約期間を延長してくれといってきたのに、4カ月で切るという。 納得できない」 と怒ります。

 トヨタ労組企画局長は、「期間従業員の組合員化をすすめ、9月で1,500人になった。 有期雇用に単組としてどう対応できるか… 限界がある。 会社は正社員への登用をしてきたが、組合としても正社員化を求めていきたい」 と話しています。


 期間従業員

 働く期間が決まっている労働者のこと。
 有期雇用は3年までと労働基準法に定められています。
 3年を超えて働かせると期間の定めのない雇用とみられるため、トヨタ自動車は1カ月の空白をあけて最長2年11カ月の契約を労働者と結んでいます。 しかも、その間を4〜6カ月と細切れ契約にし、いつでも 「期間満了」 で “解雇” できるようにしています。


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       首切り許さない たたかい広がる!

         「雇用守る国民運動を」 … 志位氏がよびかけ

 日本共産党の志位和夫委員長は東京都内の街頭演説(11月21日、全国革新懇主催) で、「大企業による大量 『首切り』 から雇用を守る国民運動を」 とのべ、3つの点を訴えました。

 第1は、雇用を守る力を十分にもっている大企業に、ため込んだお金を吐き出して雇用を守る社会的責任を果たさせること。

 第2は、安定した雇用の保障が、最大の景気対策になること。

 第3に、雇用大破壊は 「労働法制の規制緩和」 で非正規雇用をどんどん増やしてきた “政治的災害” であり、政治の責任が問われていること。

 志位氏は政治の責任として、(1) 大企業に雇用を守る社会的責任を果たせ、と指導・監督する (2) 6兆円の雇用保険積立金を、労働者の生活と雇用を守るために活用する (3) 労働者派遣法を派遣労働者保護法に抜本改正し、有期雇用を厳しく制限する労働基準法の改正をおこなう―― などを提起しました。


    「正社員化すすめよ」 … トヨタ車体に共産党申し入れ

 派遣労働者をいつまでも使いまわす 「クーリング」 が中止に追いこまれたトヨタ車体 (本社・愛知県刈谷市) に、日本共産党の佐々木憲昭衆院議員らが訪れ、派遣労働者の正社員化を申し入れました。 (11月19日)


トヨタ車体本社の酒井氏(手前右) に申し入れ
る佐々木憲昭衆院議員
(正面左から2人目)
せこゆき子氏
(同左端)、八田ひろ子氏(左から
3人目)ら =11月19日、愛知県刈谷市
 派遣先企業が派遣労働者を3年以上続けて受け入れると、直接雇用の義務が生じます。 ところがトヨタ車体は、「3カ月と1日」 だけ派遣社員をゼロにする期問 (クーリング期間) をつくって、永続的に派遣社員を使う計画でした。

 日本共産党の志位和夫委員長は10月7日の衆院予算委員会で、「直接雇用をのがれるための期間制限偽装ではないか」 と追及。 質問から1カ月もたたず、トヨタ車体はクーリングを中止しました。


 佐々木氏の申し入れに応対した人事担当の執行役員、洒井伸二氏は、厚労省愛知労働局に、「クーリング」 を説明したが、「なにもいわなかった」 とのべ、同労働局の了承のもとに開始したことを明らかにしました。

 同時に、志位質問後、「労働者派遣法の趣旨に反すると判断した」 とのべ、違法であったことを認めました。

 派遣労働者の正社員化については、「できるだけ期待にそえるようにしたい」 と回答しました。

  (以下、省略)


     全非正規解雇狙う … いすゞ 違法な契約打ち切り

 非正規雇用労働者の全員解雇をねらう企業が現れました。 トラックやバス製造で知られる、いすゞ自動車です。

 神奈川県の藤沢工場と 栃木県の栃木工場で働く派遣社員820人、期間社員580人の計1,400人を12月26日付で全員解雇する計画です。

 そのやり方も、契約期問が残っていても解雇するもの。 日本労働弁護団は11月21日、「労働法原理に照らし、違法な契約打ち切りである」 として、計画の撤回を求める声明を発表しました。

 30代の男性期間社員は、「契約期間が来年3月まで残っているのに解雇とはひどい。 この時期に求人なんかないし、寮も追い出される。 冬場に死ねというのか」 と怒りをあらわにします。

 別の男性期間社員も訴えます。「仕事もおもしろく、正社員になりたいと思っていたのにショックです。 就職先と住居をどうするかで頭がいっぱい。 仕事も手につかない。 ほうり捨てるようなやり方に気分が悪い」

 いすゞは需要の冷え込みによる生産計画の見直しを理由にあげますが、営業・経常利益ともに600億円 (連結決算) を見込んでおり、株主配当も前期より1株1円増とするなど、雇用を維持する十分な体力があります。

 整理解雇は、人員削減の必要性や解雇回避の努力、解雇対象者選定の合理性、事前に十分な説明・協議を尽くす―― という4つの用件を満たさない限り許されません。 (労働契約法)

 いすゞは2000年のリストラを機に派遣や請負労働者を増やし、大もうけをあげてきました。 しかし偽装請負を告発した労働者のたたかいと日本共産党の論戦に押されて3月、小池晃参院議員と塩川てつや衆院議員の要請に、直接雇用の期間社員と正社員への転換をすすめていくことを表明していました。 同社の社会的責任が問われます。

 日本共産党の、はたの君枝氏、小池一徳氏らは工場前などで、「雇用を守り、日本経済を立て直すため大企業の横暴をやめさせよう」 と訴え、神奈川労働局に要請するなど雇用を守るたたかいをすすめています。


 出典: 日本共産党発行の 「しんぶん 赤旗・日曜版」 2008年11月30日付

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      いすゞ自動車の工場門前で報告

    期間社員から 「ありがとう」 … 栃木

 日本共産党の塩川てつや衆院議員と小池一徳氏らは11月27日早朝、栃木県大平町のいすゞ自動車栃木工場門前に立ち、志位和夫委員長が同社本社に対し、期間・派遣社員全員解雇の計画撤回を申し入れた(26日) ことを労働者に知らせました。

 午前7時からの宣伝行動は反響をよび、「(解雇予告通知は) ひどいっすね」 「頑張っていますね」 と多くの労働者が声をかけてきました。 「契約期間満了までは寮に住めるようにする」 と回答したことなどを知らせるビラが次々と手渡され、1時間で約600人に渡されました。

 期間社員からは 「寮の退去日が延長され、うれしいです。 ありがとうございます。 みんなに知らせます」 との声が上がりました。

 塩川議員は 「株主への配当は増やそうとしながら、期間社員との労働契約は一方的に破棄する会社の姿勢は断じて許されない」 と批判。 小池候補は 「労働者の雇用を守るために全力をあげます。 相談事があったら寄せてほしい」 と訴えました。

 宣伝には大平町の大森博視、岩舟町の富田清両町議ら10人が参加しました。




    「がんばれ」のメールとどく … 神奈川

 日本共産党の、はたの君枝氏らは11月27日早朝、いすゞ自動車藤沢工場 (神奈川県藤沢市) 門前で、志位和夫委員長とともに違法解雇の撤回を本社に申し入れたことを知らせました。

 本社が 「辞めたくないと申し出があれば話し合いに応ずる」 「契約期間満了まで寮にいてもよい」 と回答したことを紹介し、「声を上げていきましょう」 と呼びかけました。

 ビラを見た労働者から 「朝早くから期間工や派遣のために活動していただきありがとうございます。 4年近く働いてきたのに最後はこんな感じで終わりたくありません。 頑張りますので共産党さんも頑張ってください」 とのメールが寄せられました。

 工場と最寄り駅前の宣伝には渡辺ちか子氏、柳沢潤次、加藤なを子両藤沢市議、松本春男綾瀬市議、沼上常生党湘南地区委員長らが参加し、ビラ 1,635枚を配布。 自転車に乗った労働者が手を伸ばして受け取るなど注目を集めました。

いすゞ自動車藤沢工場門前で訴える(右から)渡辺、
はたの、松本の各氏
 =11月27日、神奈川県藤沢市
 出典: 日本共産党発行の 「しんぶん 赤旗」 2008年11月28日付

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