トピックス     2009.1
      シャープ 福山工場
     … 「頑張れば正社員」いったのに、
                
電話一本解雇!
    派遣社員労組結成たたかう!!

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 「もう泣き寝入りはしません」。 シャープ福山工場 (広島県福山市) の半導体製造にかかわる派遣労働者たちが、福山シャープ関連労働組合を結成し、解雇の撤回などをもとめてたたかっています。 (名前は仮名)  前田泰孝記者

 解雇の通告は、携帯電話一本でした。 昨年11月13日、午後7時半すぎ。 田中幸子さん(20代) の携帯が鳴りました。 仕事から自宅に帰って、家族と食事をしているときでした。

 電話の主は、派遣会社の男性職員。 いきなり聞いてきました。 「解雇についてご存じですか」

 帰宅途中、いっしょに働いている女性から 「解雇通告を受けた」 とメールが届いていました。 「知っています」 と答える田中さんに、男性職員が続けました。 「残念ですけど、そういうことですから。 12月15日に解雇します」。 わずか10数秒のやりとりでした。

 「つい2週闇前までは派遣会社から 『あなたは大丈夫』 といわれ、シャープの上司も 『3月には契約を更新する』 『頑張れば正社員に』 といっていたのに」

 その後、面談で説明を聞く機会もなし。

 望月博子さん(26) は、休日に喫茶店に呼び出され、解雇を告げられました。 「なぜ、業務中にやらないのかと聞くと、『そんなことをすれば製造設備が止まってしまうから』 っていうんです」

 2人が登録していた派遣会社は、キャリアシップ(本社・大阪市)。 ホームページには、こんな文面が掲載されています。 「即戦力を必要な期間、必要な人数だけ外部から導入」 「メーカーは余剰人員を抱える必要が無く、さらに人材の育成に必要としていた時間・コスト・手間も削減」


 “派遣はモノ扱い” といわんばかり。 解雇通告にも、それが色濃く反映されていました。

  期間途中に突然

 解雇された派遣労働者たちは昨年12月25日、シャープ関連労働組合を結成。 「地域労組ふくやま」 と JMIU (全日本金属情報機器労組) に加盟しています。 組合員は23歳から41歳まで男女35人にものぼっています。

シャープ福山工場
(広島県福山市)

 34人がキャリアシップに、1人がジャパンクリエイト (本社・大阪市) に雇用されていました。

 1月7日、キャリアシップとの団体交渉でわかったことは―― 。

 ▽ シャープはキャリアシップとの間で、4種類の労働者派遣契約を解除した。 満了期日は最短で5月27日、最長で9月30日。 なのにシャープは、昨年12月15日付で契約を打ち切った

 ▽ キャリアシップは昨年11月12日にシャープから契約打ち切りを通告され、翌日の13日から15日にかけ派遣労働者に解雇を通告。 12月15日までに117人全員を解雇した

 厚生労働省の解雇防止通達は、「労働者派遣契約と労働契約とは別であり、派遣が解除されたからといって、即座に派遣労働者を解雇できるものではない」 としています。

 キャリアシップは、「サインしないと失業保険がすぐ出ない」 といって、書類に労働者の名前を書かせ、なつ印させました。 「解雇の承諾は得た」 と主張しています。

 しかしこの書類には、「上記の通知を受けました」 とあるだけで、解雇承諾の文言はありません。 逆に 「可能な限り雇用を確保するつもり」 とまで書いてあります。


「組合の輪を広げ、みんなの思いを集めてたたかいま
しょう」 と開かれた新春集会
=1月5日、広島県福山市
  視野が広がった

 望月さんが語ります。

 「派遣会社は、新しい派遣先を探すどころか、たった一日で解雇を決めた。 ひどすぎます。 シャープだって必要があって私たちを集めておいて、いらなくなったら一方的に契約を破棄する。 どっちも本当にモノ扱いです」

 組合についても、「集団になって初めて視野が広がりました。 私たちが一方的に解雇され、大企業だけが利益を得るなんて許せない」。

 組合員のなかには、派遣会社を渡り歩いてきた人も少なくありません。 妻子を抱える滝田芳雄さん(38) もその1人。

 最初は正社員でした。 靴のディスカウントストアで働いていました。02年に無理な転勤を迫られて退職。 派遣会社5社を渡り歩き、07年7月にキャリアシップに入社してシャープ福山工場へ。 家族は妻と2人の子どもの4人です。

 「派遣を転々とする間、仕事のない時期を何度も繰り返し、半年間、無収入のときもありました。 小学生の子どもにクリスマスプレゼントも渡せませんでした」

 労組は、雇用の継続をシャープに要求するとともに、キャリアシップに対しても、違法な中途解雇の撤回と期間満了までの賃金補償などを求めています。
 組合委員長の吉田友子さん(25) が、きっぱりといいました。

 「中途解雇に違法性があることが分かり、それじゃあ、泣き寝入りはできないと思いました。 もっと多くの派遣社員に組合加入を呼びかけて、シャープや派遣会社とたたかっていきます」

 出典: 日本共産党発行の 「しんぶん 赤旗・日曜版」 2009年1月18日付

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