昨年1年間の全国の自殺者数は3万3,093人で、10年連続で3万人を超えたことが6月19日、警察庁のまとめで分かりました。 前年より2.9%,(938人)
増え、過去最悪だった2003年に次ぐ多さでした。 60歳以上と30代の増加が目立ち、両世代は過去最多となりました。
年代別では、60歳以上が8.9%増の1万2,107人で最多。 次いで50代が2.8%減の7,046人、40代は1.8%増の5,096人、30代は6.0%増の4,767人、20代は2.5%減の3,309人と続き、19歳以下は12.0%減の548人でした。
07年10月時点の人口増加率 (総務省統計) は、60歳以上が3.4%、30代はマイナス0.7%でした。
男女別では、男性が2万3,478人、女性は9,615人で、ともに2.9%増えました。
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職業別では、無職が全体の57.4%を占め、会社員などの被雇用者は27.7%、自営は9.9%、学生・生徒は2.6%でした。
原因や動機が特定されたのは全体の70%。 1人当たり平均で1.3件ありました。 上位3位は健康問題63.3%、経済・生活問題31.5%、家庭問題16.2%。
30代以上の世代は同じ順でしたが、20代は勤務問題が3位に入り、19歳以下は学校問題、健康、家庭の順となりました。
細分化した項目では、最多が 「うつ病」 の延べ 6,060人で、「身体の病気」 の同 5,240人、「多重債務」 の同 1,973人と続きました。
硫化水素自殺 5ヵ月で517人!
今年急増!!
硫化水素を発生させた自殺は、今年1〜5月に489件、計517人に上ったことが19日、警察庁のまとめで分かりました。
昨年は1年間で27件、29人でした。 インターネットなどを通じて手法が広まった今年に入って急増したことが裏付けられました。
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(「朝日新聞」19日付夕刊より引用) |
背景に社会のゆがみ
昨年の自殺者数3万3,093人は前年比でも3ポイント近い増加です。 その一つ一つの事例に、どれほどの苦しみ、家族や関係者の涙があったことか――。
60歳以上の高齢者と30歳代が過去最高となりました。
医療改悪による高齢者の窓口負担の引き上げ、相次ぐ増税と負担増、介護保険の給付引き下げ――社会保障制度が国民の暮らしを支える本来の機能を失い、むしろ不安を増大させる要因となっていることが、高齢者の自殺増加と無関係ではないでしょう。
人間を使い捨てにする日雇い派遣など非正規雇用の激増と低賃金、不安定雇用、長時間労働は多くの30代にうつ病や過労自殺をもたらし、自殺者数のピークをつくっている最大の要因です。
7,300人余が経済苦を理由にあげていることや統計上最多の 「健康問題」 も過酷な社会、労働条件にその根があることを伺わせます。
06年に成立した自殺対策法は、自殺を個人的な問題としてだけでなく、背景に社会的な要因があることを踏まえた社会的な取り組みが必要だとしています。 社会のゆがみをただし、苦しんでいる人たちが人間らしく生きる権利を保障することによって、自殺の悲劇をなくす本格的な取り組みが求められています。そのための政治の責任は重大です。 (竹腰将弘)
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