トピックス          2008.4

  QCサークル活動労働時間!
      … 厚生労働大臣答弁!!
  
− 「夫は過労死」認めさせた妻の努力実る −

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 大企業を中心に日本国内だけでも80万人が参加しているといわれるQC (クオリティーコントロール=品質管理) サークル活動。 舛添厚生労働大臣は、QCサークル活動など小集団活動を、「労働時間」 として認める画期的な答弁をしました。 その背景には、トヨタ社員だった夫を過労死で失った妻のたたかいがありました。 6年余の努力が実りました。
(岡清彦記者)

 3月27日、参院厚生労働委員会。 日本共産党の小池晃参院議員が政府に迫りました。

 「自主活動を装っている小集団活動は 『隠れたサービス残業』 だ。 名古屋地裁の判断基準に沿って、厳しい指導監督をしていく必要がある」。

 答弁に立った舛添大臣は、「上司の管理下にあって業務命令と考えられるものは、労働時間と算定するよう名古屋地裁判決の趣旨にそって労働行政を行っていきたい」 と答弁。

「QCサークル活動」を特集するトヨタ自動車の社内報(07年12月号)

 この答弁を受けて、(しんぶん赤旗・日曜版の)編集部がトヨタ本社に問い合わせると、同社広報部は 「QCサークルなど、自主活動のあり方については、今後とも関係法令や国の指導に基づき、適切に扱っていきます」 と文書で回答しました。

 「国の指導」 に従って、「労働時間」 と認めるというものです。

  地裁認定の確定

 名古屋地裁は07年11月、トヨタ堤工場 (愛知県豊田市) の内野健一さん (当時30歳、EX=班長) の死亡 (02年2月) を、過労死と認定しました。 妻の博子さん(38) の労災申請を全面的に認めたのです。

 厚労省・豊田労基署などは、小集団活動を 「自己研さん」 として、労働時間とは認めませんでした。

 名古屋地裁は、「QCサークル」 「創意工夫提案」 「EX会」 「交通安全活動」 を 「業務」 と認め、死亡1ヵ月前の残業時間を、厚労省側が主張する45時聞35分ではなく、106時間45分と認定したのです。 厚労省が控訴を断念したため07年12月、判決が確定しました。

 健一さんは、QCサークルの責任者として、“製造原価をどれだけ安くするか” などの創意工夫提案を個入としてもサークルとしても続けてきました。 提案を出せない人の分まで引き受け、本来の業務が終わってからも会社や自宅で作業していました。


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舛添厚労大臣 (左手前) に過労死の再発防止を訴える
内野博子さん。 左列手前から小池参院議員、佐々木憲
昭衆院議員、八田ひろ子元参院議員=1月9日、厚労省
 トヨタにはQCの推進部があり、国内では4,779サークル・4万4089人が、海外工場では6600サークル・4万6500人が、参加しています。

 トヨタの関連会社、ダイハツでも、「QCサークル」 活動がサービス残業でおこなわれているケースがあります。 社員らでつくる 「ダイハツ雇用問題を考える会」 はこの2月に、「QC活動も労働時闇として認めさせていきましょう」 というビラを労働者に配布していました。

 健一さんと同じ工場で働いている大場博さん(54) が語ります。


 「僕も毎月3〜5件、提案しています。 家に持ち帰ってやっているんですよ。 それが労働時間として扱われることになれば、みんな喜ぶでしょう」



  社員追いつめる仕組みをなくして    内野博子さん

 QCサークルは、お金をかけずに業務に反映できる活動として使用者側が広めできたのだと思います。 それでも、実際にやってみると、苦しい(QC) サークル活動だと分かり、活動をやめるところも出てきていると聞きます。 「業務」 とするのか、やめるのか。 断れないまま過労死した夫のように、まじめな社員が追いつめられる仕組みをなくすことを期待しています。



   “隠れサービス残業” 是正させよう   小池晃参院議員

 日本の職場では、一方で不安定雇用が広がり、その一方で正社員には過労死させるほどの長時間労働が押し付けられてきました。

 今回の内野博子さんのたたかいは、QCサークルなどの “隠れたサービス残業” をなくしていく展望を開くものとなりました。

 政府は、過労死やサービス残業をなくすうえでも、トヨタをはじめ80万人規模に広がるQCサークルの緊急調査や是正に踏み出すべきです。




  QCサークルは日本生まれ

 QCサークルの全国普及をすすめているのが日本科学技術連盟です。 1963年に初めてサークル大会を開催。 この5月には、「第5000回記念QCサークル全国大会」 (トヨタや日産自動車、シャープなどが企画委員会に参加) を開きます。 日本経団連の御手洗冨士夫会長は、開催にあたって 「産業競争力を下支えしてきた」 とのあいさつ文を寄せています。

 同連盟の三田征史専務理事は、「国内では少なくとも10万サークルあり、80万人が参加しています。小集団活動として日本で生まれ、世界70力国に広がっています」 といいます。

 出典: 日本共産党発行の 「しんぶん赤旗 日曜版」 2008年4月13日付

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