トピックス          2008.3

 いすゞ自動車
    期間工を正社員登用

            − 派遣・請負なくす −

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   【 派遣問題 “潮目” 変わった… 共産党・志位委員長が会見 】 ジャンプ


 直接雇用へ 世論・運動に押され

 いすゞ自動車 (本社東京都) が、800人いる期間社員から正社員に登用する制度を導入し、800人の派遣社員も直接雇用に切り替えていく方針であることを3月21日、表明しました。 日本共産党の小池晃参院議員、塩川鉄也衆院議員が同日、本社を訪れ、期間社員の正社員化を要請したのに対して回答したもの。 試験という条件付きながら、偽装請負をやめさせて正社員化を求める世論と運動が動かした成果です。

 共産党要請に回答

 同社は、偽装請負から直接雇用した期間社員に対して雇用期限 (2年11ヵ月) を理由に4月からの雇い止めを通告。 「寮に住んでおり職も住まいも失ってしまう」、「毎日残業があるのになぜ解雇か」 と批判の声が上がり、4日には小池、塩川両議員と労働者が雇い止め中止の指導を厚労省に要請していました。 国会では小池氏が2006年から4回取り上げ、正社員化を求めてきました。

いすゞ自動車に期間社員の正社員化を要請する
(右から)小池、塩川の両氏=3月21日、東京・品川区

 同社の原田理志執行役員は、正社員募集について 「今日から始める」 とのべ、雇い止めを通告された人も 「対象になる」 と説明。 年4回、職場長の推薦と選考試験をへて採用し、各回募集は数十人で年100人をこえることもあると語りました。

 この日の要請で小池、塩川両氏は 「雇い止めされたら暮らしていけないと訴えが寄せられている。 厚労省も雇用の安定が第一だとしている。 基幹的業務は正社員にするのが企業の社会的責任ではないか」 とのべました。

 原田氏は、正社員募集は社会的要請を受け止めたもので、「来年9月に大量の期間社員が期限切れとなるので正社員登用を考えた」 と説明しました。 さらに 「派遣社員は期間社員に切り替えてなくしていく。 業務請負はブラックボックスが増えて生産効率も品質も上がらないので導入しない」 と表明。 02年の大リストラ後から派遣や請負社員が増えたが、期間社員の正社員化や派遣の直接雇用、高校新卒者採用で 「生産体制を再構築したい」 と語りました。

 小池、塩川両氏は 「派遣法の改正など規制緩和の流れを変えなければいけない。 雇用に対する社会的責任を果たし、一人も漏れなく雇用確保されるようにしてほしい」 と重ねて要請しました。


   − 解 説 −  いすゞ 直接雇用
    
… 正社員化へ潮目変わる!


 期間社員に雇い止めを通告していた、いすゞ自動車が、期間社員の正社員登用と派遣社員の直接雇用を表明したのは、偽装請負をなくして正社員化を求める労働者と日本共産党議員団のたたかいが動かしたものです。

 キヤノンも先日、派遣をなくして、直接雇用と請負への転換を表明しました。 派遣から直接雇用への動きにとどまらず、正社員化に向かう潮目の変化が、世論と運動によって作り出されていることを示しています。

 偽装請負の是正を迫られた大企業はこの間、労働者派遣法が定める直接雇用の申し込み義務を無視できず、直接雇用に切り換えていますが、その実態は期間社員など最長でも2年11ヵ月の有期雇用でしかありません。

 柳沢伯夫前厚労相でさえ 「(偽装請負の是正には) 必ず長期雇用を申し込む義務がある」 という通り、雇用の安定という偽装請負是正の目的に背くことは明らかです。

 今回のいすゞの対応は無法なやり方が通用しないことを示すものです。 しかし、選考試験を行うなど採用枠も小さく、労働者の願いに十分こたえるものとはいえません。 希望者は全員、無条件で正社員化するなど社会的責任を果たすことが求められます。

 いすゞ側が、「生産体制を再構築したい」 として派遣・請負をなくしていく考えを表明したことは重要です。

 無法な派遣労働から正社員化に向かうことは、違法な働かせ方をなくすことだけにとどまらず、貧困をなくし、日本のものづくり産業を立て直すなど、日本の社会と経済にとっても避けて通れない課題となっています。 (深山直人)



 出典: 日本共産党発行の 「しんぶん赤旗」 2008年3月22日付     同党のホームページ

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 派遣問題… “潮目”変わった

                
正社員化めざす運動さらに


記者会見する志位委員長
=3月23日、和歌山市
    − 共産党・志位委員長会見 −

 日本共産党の志位和夫委員長は3月23日、遊説先の和歌山市で記者会見し、派遣労働の問題について 「全国の労働者のたたかい、わが党の国会論戦などを通じて、今年に入って規制緩和から規制強化への潮目の変化がはっきりと現れている」 と指摘しました。

 その上で、正社員化を求めるいっそうのたたかいが重要だと強調しました。

 志位氏は、この間の変化の例として、製造業大手の動きをあげました。

 キヤノンは、子会社を含めて製造現場で1万2000人におよぶ労働者派遣契約を年内に解消し、6,000人を期間工として直接雇用するとともに、残りを業務請負に置き換える方針を明らかにしています。 期間工のなかから正社員への登用をすすめ、今年中に1,000人増やす方針です。

 いすゞ自動車は派遣・請負労働をなくすことを表明。 800人いる期間社員から正社員に登用する制度を導入し、800人の派遣社員も直接雇用に切り替えていく方針を明らかにしています。

 コマツも、来年3月末までに派遣社員750人を期間社員にする方針を打ち出しています。

 志位氏は、期間工、請負も不安定雇用であり、「問題の解決はこれから」 と指摘。 同時に 「製造業大手が相次いで派遣労働を解消する方向にかじを切らざるをえなくなったことは重要な転換であり、変化だ」 と強調しました。

 昨秋の労働政策審議会の時点では、日本経団連が派遣問題について 「受入期間制限の撤廃」 「雇用契約申し込み義務の撤廃」 など派遣労働の全面自由化を強く主張していたことを振り返り、「この路線が破たんし、方針転換を余儀なくされたのは重要な意義がある」 と強調しました。

 その上で志位氏は、「派遣から直接雇用、正社員化を求めるたたかいをさらに前進させたい」 と強調。 労働者派遣法を抜本改正し、“派遣労働者保護法” にするために力を尽くすと表明しました。

 出典: 日本共産党発行の 「しんぶん赤旗」 2008年3月24日付     同党のホームページ

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