[職場だより]  2015年11月29日   東芝再生への道9
社長のあり方

11.社長のあり方

 粉飾決算は3代の社長のもとで行われました。 「粉飾して利益が出ているようにしてほしい」と、 社外から要請があったわけでも、社内の従業員ら からお願いをしたわけでもありません。社長の 独断で行われた不正でした。
 そこには、目先の利益を上げることが、自己の 地位を安泰にするとの考えが色濃くありました。

●社長就任期間
  2005年6月
   〜   西田厚聰 氏
  2009年6月
   〜   佐々木則夫 氏
  2013年6月
   〜   田中久雄 氏
  2015年7月


(1) 西田厚聰 氏

 東芝は1985年に世界初のラップトップパソコン を発売し、その後ノートパソコン「DynaBook」も 発売しました。一時期はラップトップパソコンの 世界シュアが30%を超える、トップメーカーに なりました。
 1980年代、1990年代パソコン事業は、東芝の 利益を支え、花形部門でした。

 西田氏は営業マンとして、パソコンの成長期に ヨーロッパや米国で、販売営業の仕事をしました。 時流に乗った事業部門で仕事をした西田氏は、運が 良かったと言えます。

 西田氏は技術者として東芝に入ったわけでも なく、パソコンの設計・製造をしている東芝青梅 工場(東京都青梅市)で仕事をしたこともありま せんでしたが、1995年6月、パソコン事業のトップ、 事業部長に就任しました。1997年6月には取締役に なりました。

 ちょうどこの時期、東芝は当時の社長、西室泰三氏 のもとで経営改革に乗り出しました。これがさらに 西田氏の幸運になりました。西室氏の下で働きながら、 社内での認知度、比重を増して、2005年6月に社長に 就任しました。

 2008年8月までは世界の景気が右肩上がりに好調 だったこともあり、東芝の利益は順調に伸びました。 東芝の経営改革は成功ともてはやされ、西田氏は 改革の英雄(えいゆう)といわれました。

 しかし2008年9月のリーマンショックで、経営 改革の負の部分が表面化し、収益はいっきに赤字 に落ち込みました。経営悪化を隠すため、西田氏 は粉飾決算を指示しました。
 しかし、これを止めるために身を挺する役員は いませんでした。西田氏は人事で、イエスマンを 周りに集めたとも言えます。

●西田氏の社歴
 1975年5月 東芝に入社
 1984年3月 東芝ヨーロッパ社 副社長
 1992年4月 東芝アメリカ情報システム社 社長
 1995年6月 東芝 パソコン事業部長
 1997年6月 取締役
 1998年6月 常務
 2000年6月 上席常務
 2003年6月 取締役執行専務
 2005年6月 社長


(2) 佐々木則夫 氏

 佐々木氏は東芝の京浜事業所(横浜市鶴見区)で 原子力発電機などの設計技術者として仕事をして きました。
 一般的な年功序列に従って課長、部長と役職を 上げてきました。

 東芝は2006年2月、米国の原子力関連企業、 ウェスチングハウス社を買収し原子力事業の強化 を図りました。
 この買収に関わったのが、この当時、東芝電力 システム社の社長だった佐々木氏でした。

 買収は西田社長の指示で行われ、西田氏と佐々木氏 は親密になりました。西田氏の引き上げで、 2008年6月副社長、2009年6月社長になりました。

 佐々木氏が社長になることについて、経歴や資質、 リーダーシップなどから、疑問視する意見がありま した。しかし現勢を誇る西田氏の推挙とあって、 そのまま決まりました。

 しだいに佐々木氏の指導力や、リーダーとしての 立ち振る舞い・言動の弱点が表に出て、問題が広が りました。
 1年で西田氏と佐々木氏は対立するようになりま した。権力争いの状態といえます。

 佐々木氏も、自己の地位を守るには、目先の利益を 上げることと考え、粉飾決算を続けました。

 東芝の人事は、社長を4年務めたら、次に会長を 4年務めるのが通例でした。しかし西田氏 (2013年6月当時会長)は、佐々木氏を会長にせず、 副会長といういままでになかったポストを設けて、 佐々木氏を押し込めました。

(西田氏と佐々木氏は、6,210億円でウェスチング ハウス社を買収しましたが、異常な高額だったと 言われ、現在問題になっています。)


(3) 田中久雄 氏

 田中氏は東芝本社の資材調達部門で働いていま した。その後西田氏の出身事業部、パソコン生産 統括センター長になりました。
 西田氏の引き上げもあって、常務、上席常務、 専務、副社長、社長になりました。

 田中氏が社長になったとき、社内には粉飾決算に 終止符が打てるのではとの期待の声がありました。 しかし田中氏にはそれをするリーダーシップがあり ませんでした。

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 3代の社長による粉飾決算で、東芝は厳しい 状況に置かれています。社長とはなにか、 リーダーはどうあるべきか、あらためて考え させられました。

 取材のなかで「リーダーはおごらず、控えめに」、 「リーダーとしての立ち振る舞い、言動は適切に」、 「経営方針を出してもらえない」、 「利益を上げろと怒鳴られた」、「社外で話す 原稿を何度も書き直しさせられた」など の話もありました。

東芝の職場を明るくする会
連絡先  メール akaruku-tsb@kki.ne.jp