[職場だより]  2017年11月28日 「技術の東芝」を弱めた経営
               −精神論に走ったイノベーション−
 最近は、ノート型パソコンに替わって、スマートフォンやタブレット端末が、たくさん使われるようになりました。  東芝は、スマートフォン製品は作っていませんし、タブレット端末製品もわずかで、 アップルの「iPad」のような勢いも話題性もありません。  東芝にスマートフォンやタブレット端末を開発・設計する技術が無かったからではありません。  東芝のノート型パソコンは、世界市場の3割を超えるシェア (share)を誇った時期もありました。  今から17年前の2000年(平成12年)前後には、東芝はポケットパソコンを開発し、製造・販売していました。  ポケットパソコンは、スマートフォンやタブレット端末の源流です。  また密かに「スマートフォン開発プロジェクト」が作られ、開発を進めていました。  「スマートフォン」は、現在は一般名称になっていますが、プロジェクトが発足した当時は、 新しい概念の携帯電話として位置づけられて、社外に漏れないように厳重に管理されていました。
 2000年から始まった東芝の新しい経営方針は、「株主に利益を還元する企業に」というスローガンを 掲げ、株主への配当を増やすことが第一義的になりました。  目先の利益を上げる事業ばかりに目を向け、儲からない事業の 切り捨て、人件費の削減、 将来の製品開発に使う開発費の削減など をどんどん推し進めました。  削り取った費用は、当期利益として計上し、株主への配当金になりました。
 ポケットパソコン事業も、「スマートフォン開発プロジェクト」も、削られてしまいました。  東芝の携帯電話は、2014年、2015年ごろは、出荷台数が国内トップクラスでした。しかし後に続く製品が 無く、2010年には携帯電話事業からも撤退しました。
 西田社長(当時)は「イノベーション」という言葉を再三使い、新製品の開発、新生産方式の導入、 新市場の開拓をして会社を発展させると言い続けてきました。  しかし現実は、イノベーションを創り出す費用が削られていて、精神論だけになっていました。  そして原発事業に東芝の財産をつぎ込む、歪んだ経営が行われました。
 ●現在東芝は、原発事業の失敗や不正会計処理で、困難な経営状況にあります。  東芝の経営危機の要因となった、新しい経営方針を推し進め、原発事業に財務体力を超える無理な投資をしたり、 不正会計処理を指示した、当時の社長・会長、西室氏、西田氏、佐々木氏、田中氏、志賀氏は、表に出てこず、 時々報道される記事などによると「経営者として、一般的な経営を行った」旨の発言をしています。  これでは、東芝の経営危機も、14,000人を超える従業員のリストラも、自然に起こったことになってしまいます。  東芝の職場を明るくする会は、従業員や東芝OBの皆さんからお話を聞いて、当時の経営状況の検証しています。
東芝の職場を明るくする会
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